強国思想がなければ、日中友好関係は幻想化する

            

中国という国家は、相手方国が自分よりも上の国家と認める場合、極めて謙虚に振る舞いますが、相手方国が自分よりも下の国家と認める場合、常に傲慢に振る舞うとは言いませんが、有事においては明らかに強硬に振る舞う性質を持ちます。

 

それは事の大小を問わないと言ってもよいでしょう。

 

まず大きな問題−国家対国家の問題−です。

 

例えば2010年に尖閣諸島中国漁船衝突事件が起きました。

 

尖閣諸島付近を警備中の海洋保安庁の巡視船に違法操業をしていた中国漁船が危険極まりない体当たりをしてきたという著名な事件ですが、中国は船長のみを逮捕、勾留し、他の船員全員及び漁船も開放する配慮を示しても、日本に対してありとあらゆる強硬手段を矢継ぎ早に繰り出し、その結果、船長を政治的圧力により釈放させるという成果を得ました。

 

報道されてはいませんが、交渉プロセスでは尖閣諸島での局所的戦争の可能性を口頭示唆するところまで踏み込んだかもしれません。

 

このような行動を中国がとれるのは、名目GDPで逆転した日本を2010年の頃には、完全に下の国家であると認定をしていたからです。

 

また、ファーウェイの女性CFOが2018年12月初旬にカナダで逮捕されました。

 

その後、現在までに中国政府は3人のカナダ人を逮捕しています(既に釈放された1人は近時中国で厳格化するビザに起因する不法就労問題によるもので、報復措置とは無関係)。

 

そのうち2人のカナダ人の逮捕は報復措置であると見られていますが、そのような行動を中国がとれるのは、圧倒的に中国よりも経済規模の小さいカナダを最初から格下国家だと認定しているからです。

 

次に小さな問題−国家対企業−の問題です。

 

例えば、のお話ですが、日本で活動する中国の国有企業が国税局の税務調査を受け、多額の税金を追徴されたとします。

 

そうしますと、中国で活動する日本の同じ産業分野の著名企業が国家税務局の税務調査を受け、必ず多額の税金を追徴されることになります。

 

果たして中国の国有企業には多額の税金を追徴される明白な法的理由があり、日本の著名企業にはそのような理由がないとしても、です。

 

したがって、日本の国税局は中国において経済活動を行う日本企業がいわれのない報復措置を受けることを回避しようとすれば、政治的配慮から、「無理が通れば道理が引っ込む」不合理を受諾しなければなりません。

 

国税局以外の役所でも、同様です(こういう事実は過去に本当に起こったかもしれませんし−それも1回ではなく、複数回−、起こっていないかもしれません)。

 

このような不合理は、尖閣諸島中国漁船衝突事件における那覇地検石垣支部が日本企業に置き換わっただけである、との評価も可能かもしれません。

 

なぜこうした不合理が起き得るのかは、再度、書かずともおわかりですね?

 

ところが、アメリカが米中貿易戦争を仕掛けようが、ペンス副大統領が2018年10月4日演説を通じて反中政策を標榜しようが、中国でアメリカ人が逮捕されたり、アメリカ企業が嫌がらせに遭ったりというお話はついぞ聞きません。

 

中国が日本やカナダに対してとるような行動を決してとらないのは、中国はアメリカを自らよりも格上の国家であると認定していて、アメリカ相手に行き過ぎた行動をとるならば、格下の国家と異なり、自らが炎上しかねないとの懸念を有するからです。

 

このロジックで言えば、中国は世界において、アメリカ以外の全ての国家は格下の国家であると認定していますから、ロシア、インドのような核保有国は格下ではあっても、特段の配慮を示すことがあるにせよ、日本を含むそれ以外の国家に対しては有事において常に強硬手段をとる傾向があるといえます。

 

日本がそれでもまだASEAN諸国、特に領有権問題で争うフィリピンやベトナムと比べて相当ましな待遇を享受できているのは、日米安保条約が今のところ健全に機能しており、「虎の威を借るキツネ」戦略により、アメリカの力を利用できているからにすぎません。

 

ところが、トランプ大統領は一方で米中貿易戦争を仕掛けるなど、対中強硬姿勢を強めていますが、他方で在韓米軍の大規模縮小、そしていずれ在日米軍についても同様の措置を講じる可能性が高く、前者は中国に不利となりますけれども、後者は日本の安全保障環境を極端に悪化させ、日本にとって圧倒的に不利となります。

 

このようにして、「虎の威を借るキツネ」戦略が有効に機能しなくなる状況が現実化すると、日本はアメリカに代えて、中国の属国とならざるを得ない未来が現実化し得ます。

 

日本は今まで中国を尊敬し、師又は格上の国家と仰ぎ、そこから様々な事柄を学んできたにせよ、朝鮮半島と異なり、属国化した歴史的事実は一切ありません。

 

しかし、上述の状況下では、日本の有史以来はじめて日本は中国の完全属国となるのです。

 

これは第二次世界大戦後、日本はずっとアメリカの属国であったのだから、親分が変わるだけのことじゃないの、という単純なお話ではありません。

 

日本はアメリカと自由主義、(西欧型)民主主義という共通の価値観を共有していますが、社会主義国であり、政治の(西欧型)民主主義を絶対的に拒否する中国とはそれが不可能であるので、中国の完全属国化となる未来は、それに慣れてしまう世代が日本国民のうち圧倒多数となるまで、暗澹たるものになる可能性があります。

 

だからこそ、日本は中国が単独でも手強いと思ってもらえるだけの強国思想を持ち、実際にも強国化の方向で国家を進めていかなければならないと思うのです(あとは、強国化が間に合わない未来に備えて、中国と中国人がどのような思考形式を持つ国家、人民なのかという理解力の向上=相手の思考が読めれば、完全属国化は回避できるチャンスあり)。

 

私も現在で54年間も日本人をやっておりますが、日本人の最大の弱点は、国家でも人でも嫌いなものは無視しようとするだけで(人の場合、時に陰湿な苛めという攻撃がありますが)、決して嫌いなものがどういうマイナスの作用を自国、自身に及ぼし得るか、合理的にそれを回避するのは何が必要か、そのためには今どのような行動をとるべきかを科学的に考えないというところにあると思います。

 

2014年2月にブログを開始した頃には、日本の中国の属国化はまだまだ先のお話であると思っていましたが、トランプ大統領が2025年1月まで、あと6年間大統領を継続する未来が現実化する場合、僅か6年以内に安全保障環境の日本に不利な方向での激変によって、日本の中国の属国化懸念が急速に進む可能性があります。

 

国家(安倍総理を中心とする政権や自民党)や官僚がいかにアメリカに「行かないで」と縋り付こうとも、トランプ大統領に足蹴にされる未来があることはマティス国防長官の明日2019年1月1日における失職で明々白々となりました。

 

1人1人の日本国民が年末年始に真剣に日本の強国化を考えるべきときが来た、と思います。

 

お正月には改めて極東の地図を見て、アメリカが去った後の日本は、中国だけではなく、ロシアと反日、反米、親中化した朝鮮半島(北朝鮮及び敵性国家化した韓国)に囲まれた四面楚歌状態になる地理的運命にあるという最低限のことだけは頭に入れておいてもよいのかもしれません。

 

 

歴史が動くときには、ゆっくりと長い時間をかけて動くのではなく、大方の予想を超えて、一気に動くことが決して少なくない。アメリカに100%依存する前提で国家体制構築をしてきた自民党とその思考形式に慣れた官僚では、日本を振りほどきたいアメリカに縋り付くたった1つの戦略以外思いつけないから、6年以内に安全保障環境が大激変した場合にも、他の合理的オプションで国家と国民を救う芸当は決して期待できない。小国・日本が現在の国体を維持し、子々孫々に安心して引き継げる未来を描くには、政治のほうも大改革が必要だろう。日本人は150%の確率で自らそれをできないので、決定的な悲劇的有事が一度は起きないと、不可能ではあるだろうけれど。一般国民にあって、悲劇的未来の可能性を見る私を含む一部国民は、一方で憂国の念を持ちつつ、他方でアメリカを含む安全な他国への移住能力を高めるほかなさそうだ。

 

以上

 

■筆者: 村尾龍雄■-----------------------------------------------------------------
弁護士法人キャスト 代表弁護士・税理士
香港ソリシター(LI&PARTNERS(香港)所属)
キャストコンサルティング株式会社 代表取締役
加施徳咨詢(上海)有限公司 監事
加施徳投資香港有限公司 董事
キャストグループ   キャスト中国ビジネス
■東京/大阪/埼玉/上海/北京/蘇州/広州/香港/ヤンゴン/ホーチミン■----------------



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