歴史好きの日本人が自分の頭で本気で歴史を振り返ったら、日中関係は劇的に変わる

            

私は一介の弁護士に過ぎませんし、歴史の専門家でもありません。

 

それゆえに素人の妄言であるとの批判を承知で、日中の歴史をたったワード3ページ限りの分量で組み立てると、私の頭の中身は次のようになっています。

 

すなわち、中国という隣人と日本との関係が始まった建武中元2年(57年)頃から明治維新(1867年)までの1810年もの間、漢字、漢詩、史記を嚆矢とする三国志を含む膨大な歴史書、東洋医学、孔子の「論語」に代表される儒教思想、京都の街を設計した道教の地理風水、鑑真和尚が命がけで伝えてくれた仏教戒律(中国三大宗教により日本が受けた影響は大きい)など、本当に多数の知識と知恵を日本にもたらしてくれました。

 

この間、白村江の戦い(663年)、元寇(1274年、1281年)、そして豊臣秀吉の朝鮮出兵(1592年〜1593年、1597年〜1598年)の三度に亘り、日中は戦火を交えていますが、このことは両国間の師弟関係、友人関係に決定的な影響を与えませんでした。

 

ところが、イギリスとアメリカ(特に清朝との二度に亘るアヘン戦争で巨万の富を得たイギリス)が背後で暗躍(多額の資金拠出を)し、多数の日本人同士に殺し合い(内戦)を誘発させて200数十年に亘る平和な時代を築き上げた江戸幕府の打倒に成功した明治維新は、日本人をしてそれまで1810年に亘る教師であり、友人でもあった中国を捨てさせたばかりか、恩知らずとの批判もあり得る中国蔑視に陥らせ(日清戦争勝利はそうした傾向に一層拍車をかけました)、西欧列強のみを礼賛する日本人のマインド・リセットに成功したのです(明治時代にはイギリスは日本との交易を通じて、それは大儲けしたことでしょう)。

 

こうしてイギリス様、アメリカ様を含む西欧列強礼賛の機運が高まり、その植民地支配的側面に憧憬の念を覚えたか、そしてまた西欧列強(親)の持つ中国蔑視という負の価値観を子である日本もそのまま真似たのか、かつての教師であり、友人である中国を蹂躙し、西欧列強に伍して中国の一部植民地化を図りました。

 

しかし、そのプロセス(日中戦争)では中国人民の抵抗により、多数の日本軍の兵士も命を落とすことになりました。

 

そこまでして勝ち取った中国の権益を放棄するようにアメリカ様から命令(ハル・ノート)をされても、これを唯々諾々承服していては、大陸で散って行った(アメリカとの開戦前時点で)20万人を超える英霊に申し訳が立たないとして、客観的には勝てないことが分かり切っていたはずのアメリカ様の要求を蹴ってこれに無謀にも立ち向かった結果、今度は兵士と市民の合計で300万人を超える貴重な命を新たに天に捧げる羽目になりました。

 

このように多大な犠牲を払って立ち向かった鬼畜米英ですが、一度戦争が終わると、第二次世界大戦の敗戦後のアメリカ様による徹底した洗脳の成果、そしてこれに抗おうとする勢力の撲滅のための受験戦争・偏差値教育導入による去勢化政策、自ら思考する力を奪うテレビの娯楽番組による愚民化政策の成功により、日本国民が一糸乱れずにアメリカ様大好きという節操のなさが形成され、その文脈では英霊に申し訳が立たぬなどという戦前の日本人が持っていたはずの倫理観は雲散霧消、あれは「ほとんどなかったことに」とでも言うような雰囲気の中で、本当に終戦のために必要であったのかが不明な二度の原爆投下に関する歴史的評価について学生が自分の頭で考える機会は、アメリカ様の批判につながりかねないという理由で現在に至るまでずっと剥奪されています(よって、日本人の圧倒的多数は国民的に思考すべきこんな基本的論点についてさえも人生上1回も考えないまま死んでいきます)。

 

その一方で、1949年10月1日に成立した中共中央王朝・中国がマルクス・レーニン社会主義を標榜し、西欧型民主主義や法の支配を否定する異質構造であることに加え、冷戦構造下でアメリカ様によりマインドセットされた「共産主義、社会主義は悪」という日本の支配層に決定的な価値観が払拭できず、それが広く日本国民に蔓延する結果、中共中央が「韬光养晦(能ある鷹は爪を隠す)」政策を捨て、特に海洋権益拡大に躊躇しない姿勢に転じたことも相俟って、90%以上の日本国民が嫌中感情に侵される中、中国との長い歴史に立脚する観点から、現在の日本人の嫌中感情が歴史的にどう形成されてきたのだろうかという疑問すら抱こうともしないことになります。

 

しかし、歴史好きの日本人が自分の頭で本気で歴史を振り返ったら、私なんかよりも遥かに詳しく物事をある種マニア的に考えることができる賢い人々が多数いるはずであって、そうすると、

 

「私たち日本人は古来よりどのような価値観を重視していたのか?」

 

「その価値観の形成プロセスで、私たち日本人の骨格形成に最も影響を与えた教師、友人は誰であったのか?」(57年〜1867年。仏教、儒教、道教の影響)

 

「その教師、友人を捨てるに至った歴史的経緯として、アヘン戦争で清朝を蹂躙したイギリスを中心とした暗躍が明治維新を誘発し、それが歴史的契機となって日本が古来からの教師であり、友人であった中国を捨てさせ、西欧列強にとって儲けやすい基盤としての西欧列強礼賛思想を日本で形成することになったのではないか?」(1868年〜)

 

「特に第二次世界大戦後、アメリカ様を無批判に礼賛する風潮が、日本人が自らの頭でアメリカ様についても中国についても是々非々で物事を考える力を剥奪しているのではないか?」(1945年〜)

 

などという問題に、たちまち自分なりの答えを出せるはずです。

 

そうすると、国体が固まって所詮僅か1000数百年しかない日本の歴史の中で、目前の中共中央王朝には価値観の相違に立脚してそれこそ是々非々で申し述べたいことがあるにせよ、日本が中国に大いにお世話になった側面に必ず気付くに違いがなく、同時に90%以上の日本国民が自分の頭で何も考えることがないまま、およそマスコミが形成した客観性を欠く嫌中的雰囲気論の中で、ほとんど「パブロフの日本国民」的文脈で十分な理由のないままに中国全面否定型の嫌中感情が形成されていることの異常さにも気付くはずであると思うのです。

 

歴史好きだけでなく、「三国志」が好きな人、「論語」が好きな人、「菜根譚」を引用する経営者など、中国とのご縁を、中国を余り深く意識することなく有しておられる日本国民が、それぞれに自然とご縁を持つ中国との接点を出発点として、日本と中国の僅か1000数百年の歴史を自分なりに「点(過去のある時点のみ)ではなく線(最初のご縁から現在までのマクロ的な流れ)で」振り返り、なぜ日本人がこれほどまでに自分の頭で考える前に半ば自動的に嫌中感情を抱くようになったのかを考えるとき、聡明な日本人の多くはその歴史的、制度的なカラクリに気付いて、日中関係が劇的に変わる基礎を今の世代に、そして何よりも次の世代に提供するはずだ、と考えます。

 

戦後お世話になったアメリカも日本にとって極めて重要であることは間違いありませんが、それだけに偏重してアメリカ様には一切批判の眼を持たない、中国には偏見しか持たないというバランスの悪さが本来とても歴史好きで、フェアに物事を考えることができる日本人の長所を歪めているのではないか、もしそこに僅かであっても自省の念を持つ日本人が増えれば、日本の未来は良い方向に大きく変わるのではないか、と期待する次第です。

 

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キャスト東京が入居する愛宕グリーンヒルズ(港区)の最上階(42階)から見える増上寺。風水に精通した徳川家の菩提寺であると同時に、徳川家康が設計した江戸の街づくりを構成する重要な要素でもある。彼の風水に基づく設計が200数十年の江戸時代の安寧に寄与したとすれば、ここでも日本は中国の英知の世話になっているとの見方が成り立つ。

 

以上

 

■筆者: 村尾龍雄■-----------------------------------------------------------------
弁護士法人キャスト 代表弁護士・税理士
登録外国弁護士(日本法)(LI&PARTNERS(香港)所属)
キャストコンサルティング株式会社 代表取締役
加施徳咨詢(上海)有限公司 監事
加施徳投資香港有限公司 董事
キャストグループ   キャスト中国ビジネス
■東京/大阪/上海/北京/蘇州/広州/香港/ヤンゴン/ホーチミン■----------------------



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